シロアリ

シロアリは、昆虫綱ゴキブリ目シロアリ科の昆虫の総称です。

名前とその見た目から、アリの仲間だという印象を抱きがちですが、
実はシロアリはどちらかというとゴキブリに近い生物です。
一般的なアリはハチと性質が非常に近く、ハチの羽と針がなくなったのがアリと考えてもハズレではありません。
逆にシロアリは、社会性を持って階級制度の下で集団行動をとるようになったゴキブリと見ることができます。
そう考えるとますます嫌悪感が増しますね(笑)

シロアリは世界中の温帯・亜熱帯・熱帯地域に生息しており、
日本では22種類のシロアリの生息が確認されています。
中でもわれわれの家屋に被害をもたらすのはヤマトシロアリと、イエシロアリの2種類が主。
ヤマトシロアリは日本全域、イエシロアリは西日本の海岸沿いの地域に多くみられます。
また、近年では外来種であるアメリカカンザイシロアリの被害も報告されるようになりました。

ヤマトシロアリ イエシロアリ アメリカカンザイシロアリ
↑ヤマトシロアリ(左)、イエシロアリ(中)、アメリカカンザイシロアリ(右)
 それぞれ左が兵隊アリで右が働きアリ。


ちなみに 『シロアリ=家屋を食い荒らす』 というイメージがありますが、
全世界に2800種以上のシロアリがいる中で、家屋に害を与えるのは80種程度です。
そのほかの種は森の土壌の中で、枯れ木や枯葉などを食べています。
樹木のセルロースを分解する能力があるため、自然界の土壌の生物循環に大きな貢献をしており、
地球視野で見た場合は非常に大切な生き物であるという一面も持っています。

しかし一部のシロアリの食害が我々にとって深刻な問題であることも確か。
このサイトでは、人間の家屋への食害が顕著なヤマトシロアリとイエシロアリについて解説していきます。


< シロアリの身体的特徴 >
ヤマトシロアリは、働きアリの大きさが大体4mm〜6mm前後です。
兵隊アリも同じぐらいの大きさですが、顕著に頭が大きくてその先端には強靭なアゴがあります。
女王アリは15mm程度で、下腹部が大きく膨らみます。
体色は乳白色から透き通るような淡い褐色で、羽を持った有翅虫(羽アリ)は黒い褐色をしています。

イエシロアリは、ヤマトシロアリに比べてサイズが全体的に大きいのが特徴です。
働きアリ5〜7mm、女王アリは40mmほどの大きさになります。
ヤマトシロアリ同様に頭部が発達した兵隊アリもいますが、イエシロアリの兵隊アリの頭部は小さめ。
体色も同様に乳白色〜淡い褐色ですが、イエシロアリの場合は有翅虫も薄い褐色をしています。
これらの点から、身体的特徴だけでも十分に2種の判別は可能です。

また、アリとの区別も容易です。
以下の点を気にして観察すればすぐに判別がつきます。
 ・アリの触覚はくの字に曲がっているが、シロアリの触覚はまっすぐで連なった団子状
 ・アリはくびれがあるが、シロアリは寸胴
 ・アリの有翅虫の羽根は前羽根がかなり大きくなっているが、シロアリの有翅虫の羽根は前後とも同じ大きさ

シロアリ シロアリ女王
↑ヤマトシロアリの兵隊アリと働きアリ(左)、イエシロアリの兵隊アリ(右)

シロアリ羽根アリ イエシロアリの兵隊アリ
↑ヤマトシロアリの有翅虫(左)、イエシロアリの女王アリ(右)


< シロアリの階級と繁殖サイクル >
シロアリは個体の階級がしっかりと分かれており、非常に社会性に富んだ生き物です。
 ・女王アリ・・・体長が非常に大きく、巣の中で繁殖活動に専念している
 ・王アリ・・・女王のそばで繁殖活動に専念している
 ・副女王/副王アリ・・・何匹かいて、女王達に何かがあったときに昇格して代わりを務める
 ・働きアリ・・・食事の調達や卵・幼虫の世話・巣作りなどをしている
 ・兵隊アリ・・・外敵から他のアリを守る
 ・ニンフ・・・いずれ羽アリになり巣立っていく将来の女王/王候補

シロアリはコロニーがある程度大きくなると、ニンフから羽アリに成長した個体が巣立っていきます。
地域やシロアリの種類によって差はありますが、
春から夏にかけての湿度が高い蒸し暑い日に飛び立つことが多いようです(結婚飛行)。
飛行能力はそれほど高くなく、数十分の飛行でせいぜい500m以内の移動距離におさまることがほとんどです。
彼らは着地するとすぐに羽根を落としてしまいます。
そこでうまくパートナーを見つけたカップルは営巣と生殖活動に励みます。

最初は自分達も卵や幼虫の世話をしていますが、
働きアリの数が揃う頃には完全に女王と王は生殖のみに専念するようになります。
最初は一週間以上かけて数十個の卵しか産みませんが、
生殖に専念したあとは1日数百個レベルでの産卵が可能に。
そこからは爆発的にその個体数を増やしていきます。

シロアリの活動の時間は昼夜問わずです。
季節的には暖かい時期のほうが活動が活発ですが、冬に特別冬眠をするわけではありません。
冬場でも気温が高い日にはしっかりと活動を続けています。
羽アリを見かける夏にしか活動していないイメージを持ってしまいがちですが、それは間違いです。

シロアリ シロアリ

シロアリには目がありません。
全ての行動はそれぞれが体から分泌する特殊なフェロモンによって行われています。
階級を表すフェロモン、道標をあらわすフェロモン、危険を知らせるフェロモンなど
さまざまなフェロモンを使い分けて社会的な集団行動を可能にしているのです。

なので何か不慮の事故で女王が不在になれば、彼らはそれをフェロモンで検知し、
すぐに代わりの副女王が昇格して次の女王の役目を担ったりします。
シロアリにとってのフェロモンは、我々にとっての会話と同等のものであると考えてもよいでしょう。

巣に選ぶ場所は、シロアリの種類によって様々です。
枯れ木や土の中に巣を作る場合もあれば、海外で目にするアリ塚のように地上に作るケースもあります。

ヤマトシロアリの場合:
非常に湿った場所を好みます。
最初から湿っている朽木や木材などに目をつけて巣を張ります。
巣を拡大するスピードは遅く、コロニーの大きさもせいぜい3万匹規模までと言われています。
そのため家屋に侵入しても、トイレや風呂の床下までの被害で収まることが多いです。

イエシロアリの場合:
ヤマトシロアリ同様に湿った場所を好みますが、
なんとイエシロアリは自らの手で水分を持ち運んで、乾いた場所さえも湿った場所に変えてしまいます。
そのため元々湿気がない場所にも積極的に進行していく傾向があり、被害は家屋全体に及ぶことも。
侵食速度が早い上にコロニーも巨大で、100万匹クラスの巣を形成しているケースもあります。
さらに地中奥深くに大元の巣を作っていることが多く、表面的な駆除では根絶が非常に難しいシロアリです。

ヤマトシロアリの食害 イエシロアリの食害
↑ヤマトシロアリ巣(左)、イエシロアリの巣(右)
 ヤマトシロアリの巣は必ず湿っているため、木材が黒ずんで腐食していく場合が多い



< シロアリの食事と天敵 >
シロアリは枯れて朽ちた木や葉を好んで食べます。
その中に含まれているセルロースが主な栄養源であり、
これを自らの消化能力と腸内菌により分解して摂取しています。

アリのように生きている生物を襲ったりはしませんが、
木材、コンクリート、鉛などの柔らかい金属、プラスチック、動物の死骸、
中には納骨された人骨までもを食害した報告もあります。
非常に雑食性の強い生き物だといえます。

なんでも食べるシロアリですが、逆に天敵は生物界の中では多いほう。
シロアリを捕食する代表的な生き物はクロアリ、クモ、小型鳥類、カエルやトカゲなどです。
これらの生き物を不自然に多く見かける場合はシロアリの繁殖を疑ったほうが良いかもしれません。

クロアリ クモ カエル ツバメ


あと意外に知られていませんが、シロアリは日光に非常に弱いです。
強い日差しにさらされると数分で干からびて死んでしまいます。
なので木材を食い荒らしても、外皮には手をつけずに内部にだけ侵攻してその姿を見せません。




< シロアリへの対策・駆除方法 >
シロアリの駆除は専門業者に頼むのが一番効果的ですが、
その駆除費用はとんでもない金額になり(数十万円から〜)どうしても尻込みしてしまいます。
決して簡単な作業ではありませんが、自力で駆除することも不可能ではありません。
予防・駆除に関して何かの参考になれば幸いです。

@まずは身の回りの状況を確認する
シロアリは通常は人の目につく場所に現れません。
羽アリが飛び立つ時期に初めて気付き、その時には既に深刻なレベルまで侵攻を許していることが多いです。
以下の点にまず注意してみましょう。

 ・自宅やその周辺で羽アリを見かけたことがある
 ・自宅やその周辺で蟻道と思われる壁に付着した土の塊を見たことがある
 ・近所でシロアリ駆除をした話があった
 ・自宅周辺に朽ちた木や木材がある
 ・自宅に雨漏りや浸水などがある、もしくは過去にあった
 ・自宅の柱を叩くと空洞のような音がする
 ・自宅の床や畳がベコベコしてきた、軋む
 ・自宅の戸や障子のしまりが悪くなった
 ・自宅の特定箇所だけ妙に腐食が激しい場所がある

以上の点にいくつか該当するのであれば、一度しっかりとシロアリの有無をチェックすることをおすすめします。

蟻道 蟻道の中身 空中蟻道
↑シロアリの通り道である蟻道(左)、蟻道を崩すとシロアリだらけ(中)、空中に塔のように形成された蟻道(右)

Aシロアリが侵攻していたら
シロアリは建材をスカスカに食い荒らして侵攻します。
それにより雨漏りや水漏れの多い家になりますし、カビによる腐食も進行しやすくなります。
さらには柱の耐震性能がなくなってしまい、家屋が中程度の地震で倒壊してしまった例もあります。
出来る限り早急に対策を打ちましょう。

駆除は薬剤による方法になります。
スプレー型、塗布型、土壌散布型、毒餌型(ベイト型)などのタイプがありますが、
一つの方法だけでは完全な撲滅は難しいです。
それぞれのタイプを複合して使用していくのがより確実な方法だといえるでしょう。

スプレー型:
 殺虫成分を直接吹きかける、見た目にもわかりやすい方法です。
 発見した個体に直接吹きかけて殺すこともできますし、
 巣穴にノズルを挿し込んで注入すれば、狭い範囲に限って殺虫・長期間の忌避効果が望めます。
 即効性は一番ありますが、残念ながら巣の表層のシロアリにしか効果が望めず、
 シロアリ全体の根本的な根絶にはなりません。
 あくまで目に見える場所に現れたシロアリへの、その場しのぎの方法です。
 アース製薬 シロアリアース 450mL
 フマキラー 殺虫スプレー シロアリジェットプロ 450ml

塗布型:
 シロアリに対しての食毒作用がある塗布型の薬剤です。
 他のアリやゴキブリの忌避剤としても効果があり、木材が燃えにくくなる作用もあります。
 またキノコ類の繁殖も抑えるので組み木型の木造建築などには非常に効果がある薬剤といえます。

 薬剤は、木材などのシロアリの食害に合う場所に塗布して使用します。
 床下に潜り込み、むき出しになっている木材部分全てに塗布してください。
 キッチン下、風呂場下、トイレ下などは特に重点的に。
 また、すでにシロアリの通り道と化している木材にはドリルで穴を開け、
 木材の内部に直接薬剤を注入すると効果的です。
 ハウスガード 10リットル 2倍濃縮
 白アリスーパー21 低臭性クリア(2.5L) 白アリ防除剤

土壌散布型:
 土の上に直接撒いて使用する乳剤です(液体)。
 これは自宅の周囲ではなく、床下の土壌に適量を撒いてください。
 これもキッチン下、風呂場下、トイレ下などを重点的に面上に散布するとよいでしょう。
 シロアリ用土壌処理剤 粒状ネオターマイトキラー 5kg

毒餌型(ベイト型):
 働きアリは1、2ヶ月ごとに脱皮を繰り返します。
 働きアリに脱皮を妨害する毒餌を食べさせて撲滅し、
 最終的には働きアリから餌をもらっている女王や兵隊も餓死させる方法です。
 イカリ消毒 シロアリハンター 6個入

 設置は簡単で、7cm×7cm×3cmぐらいの箱に毒餌が入っており、
 それを床下のシロアリの通り道近くに張り付けたり、自宅の周囲に等間隔で埋めるだけです。
 シロアリがいればその箱に向かって蟻道を作りますので、
 1ヶ月に一度掘り返して確認してみてください。
 もしシロアリが確認できればその周囲までコロニーを広げて食べに来ている証拠なので、
 その付近に毒餌箱を追加して効率を上げてください。

 床下や自宅周辺に設置するだけなので非常に手軽な上、
 シロアリのコロニーを壊滅させることもできる非常に有用な方法だといえるでしょう。

 唯一の欠点は、撲滅に非常に時間がかかることです。
 毒餌を口にしたアリが脱皮できずに死ぬまでに2ヶ月かかり、
 さらに女王が生み続けている子供が成長して毒餌を食べに来て死ぬまでの期間を考えると、
 かなり長丁場の戦いになります。


シロアリ シロアリ


巣が広大で個体の数が多いシロアリの完全な撲滅は本当に難しいです。
忌避剤を塗ってもシロアリたちの巣を分断させるだけで終わってしまったり、
殺虫剤を使っても見える部分のシロアリしか殺せていなかったり。
自分で処置した場合は、当分の間はその後の経過を注意深く観測してください。
どうしても自力で根絶が難しいと判断したときは業者に委ねるのも立派な選択肢です。


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